「キャリア」という言葉は、わが国では大きく誤解されています。ほとんどの人々は「キャリア」を「職歴=職務経歴」ととらえています。しかしこのとらえ方では、人生を半分しか考えていないようなものです。「キャリア」は職業のみに関する概念ではありません。「キャリア」とは何か。私たちキャリアカウンセラーはこのようにとらえています。
<キャリアとは何か>
職業を主軸とした人生全体、またはその設計。
つまり「キャリア」とは、職業の遍歴だけでなく、それを基として設計されていく人生全体を言うのです。公的な生活と私的な生活の両方を包含するものだと考えてください。公的な生活が不安定なら、私的な生活も不安定となります。また逆に、私的な生活が不安定なら、公的な生活も不安定となるのです。
「キャリア」は仕事、専門職業、職務経験、職業履歴など、多くの意味に使われていますが、実体的な意味としては「前向きに人生を切り拓いていく思考」ととらえられます。ですからこれからの職業を含めた人生全体を考察する必要があるのです。
意識せずに漫然と毎日を過ごしてしまうと「キャリア」の適切な構築には向かえません。自ら意識して考察し、計画性をもって組み立てていくことが大切です。意識しないで自然に身に付いたものは自分の血肉とはならず、すぐに自分から離れていってしまうからです。
「キャリア」とは、自分にとって大切だと思うことを育んでいくプロセスです。大切なものは個人個人で違います。自分自身を見つめ、自分自身と対話することでしか、その内容は整理できません。しかしこれを実践することで、あなたは自分が持っている能力や可能性を発見できます。これに気付くことが仕事のやりがいや面白さを引き寄せる過程となるのです。
納得できる「キャリア」の構築は、徹底した準備によって実現されます。自分の人生を他者任せにするのではなく、自ら開発していくことを大切にしてください。